包丁用の砥石の選び方|番手・粒度の違いと使い分け早見表

砥石の売り場に並んでいるのは、#1000、#3000、#6000といった数字が印刷された箱です。
この数字は番手(ばんて)と呼ぶ砥粒の細かさで、家庭の包丁を切れる状態に戻すだけなら、#1000前後の中砥(なかと)が1枚あれば足ります。
荒砥(あらと)や仕上げ砥(しあげと)を最初から揃える必要はありません。
番手の次に差が出るのは、砥石の素材と、使う前に水へ浸けるかどうかです。
同じ#1000でも人造砥石とダイヤモンド砥石では減り方が違い、浸水タイプなら研ぎ始めるまでに10分前後の待ち時間が加わります。
本記事では、番手の決め方・人造とダイヤモンドの使い分け・刃渡りから見たサイズの目安・鋼材との相性を解説します。

キッチン小物ラボ編集部
キッチン小物ラボは、箸やカトラリー、水筒、弁当箱、鍋、包丁、お茶まわりの道具を扱う専門メディアです。扱う範囲は「コンセントを挿さないもの」に絞り、メーカーが公表している寸法・素材・食洗機やIHの対応可否を突き合わせて、サイズの選び分けと買い替えの判断材料を整理しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
砥石は番手で選ぶ|包丁1本なら#1000から
番手はおおまかに3段階に分かれます。
#200〜600の荒砥は欠けた刃を作り直す段階、#800〜2000の中砥は切れ味を戻す段階、#3000以上の仕上げ砥は刃先の当たりを細かく整える段階です。
トマトの皮で刃が滑る、鶏皮が切り離せないという程度の切れ味の低下は、中砥だけで元に戻ります。
荒砥が要るのは、刃先を見て光る点や欠けが確認できる場合と、先端が丸まって尖っていない場合です。
中砥だけで削り落とそうとすると時間がかかりすぎます。
反対に、毎月研いでいる包丁に荒砥を当てると、必要のない厚みまで削ってしまいます。
1枚目としてよく選ばれるのは#1000前後の中砥、または#1000と#3000を貼り合わせた両面砥石です。
両面なら仕上げまで試せますが、1面あたりの厚みは半分になるため、減ったときに使える回数は少なくなります。
長く1枚を使うつもりなら、片面で厚みのある中砥のほうが減りに強いです。
人造・ダイヤモンド・天然の3タイプは、減り方が違う
人造砥石
酸化アルミや炭化ケイ素の砥粒を結合剤で固めたもので、家庭用として流通している大半がこのタイプです。
番手が明記されているので狙った仕上がりを選べますし、砥粒が適度に崩れながら新しい面が出るため研磨力が安定します。
その代わり中央が凹むので、定期的に平面へ戻す作業が発生します。
ダイヤモンド砥石
金属やプラスチックの台にダイヤ砥粒を固定した構造で、面がほとんど崩れません。
平面を保つ手入れがほぼ不要で、粉末ハイスのような硬い鋼材にも当たります。
ただし砥粒が抜けてくると研磨力は落ちますし、面を作り直すことはできないので、そこで寿命になります。
天然砥石
産地や採れた層によって硬さも粒度も違い、番手として表示されない製品もあります。
仕上げの当たりを自分の好みへ寄せていく段階では選択肢になりますが、1枚目に選ぶと、研げないのが砥石のせいなのか自分の角度のせいなのか判断できません。
浸水が必要かどうかで、毎回の準備が変わります
人造砥石には、使う前に水へ浸けるタイプと、表面に水をかけてすぐ使えるタイプがあります。
浸水タイプの目安は5〜15分ですが、必要な時間は製品ごとに違うので、箱や取扱説明書に書かれた指示に従ってください。
研ぎ始めるまでに10分待つ工程が入るかどうかは、続けられるかにそのまま関わります。
水に浸けたまま保管してよい製品と、使用後は水を切って乾かすよう指定されている製品があります。
指定を無視して漬け置きすると、結合剤が緩んだり凍結時に割れたりする原因になります。
週末にまとめて研ぐ使い方なら浸水タイプでも困りませんが、思い立ったときに5分で1本だけ研ぎたいなら、水をかけてすぐ使えるタイプかダイヤモンド砥石が合います。
タイプ別|おすすめできる条件と、向かない人
| タイプ | 面の減り方 | おすすめできる条件 | 向かない人 |
|---|---|---|---|
| 中砥1枚(#1000前後・人造) | 使うほど中央が凹む | 家庭の三徳・牛刀を月1回程度研ぐ | 刃こぼれを直したい |
| 両面砥石(#1000/#3000など) | 片面ずつ減り、1面の厚みは半分 | 1枚で仕上げまで試したい | 1枚を何年も使いたい |
| 荒砥(#200〜600) | 減りが早い | 欠けた刃、丸まった刃先を作り直す | 切れ味の維持だけが目的 |
| ダイヤモンド砥石 | 平面が崩れにくい | 硬い鋼材を研ぐ、準備を省きたい | 刃先を細かく整えたい |
| 天然砥石 | 製品ごとに差が大きい | 仕上げの当たりを追い込みたい | これから研ぎを覚える |
1本目の包丁を1本だけ研ぐなら、中砥1枚に絞って構いません。
家族分の包丁が3本以上あり、そのうち1本が欠けているという状況なら、荒砥と中砥の2枚に分けたほうが作業が早く終わります。
砥石のサイズと厚みは、包丁の刃渡りから決める
家庭用として一般的なのは長さ180〜210mm、幅60mm前後、厚み20mm前後です。
刃渡り165mmの三徳包丁なら、この標準サイズで刃元から先まで無理なく当てられます。
刃渡り210mmの牛刀を研ぐ場合は、砥石が短いと1回のストロークで動かせる距離が足りず、当てる位置を何度も送り直すことになります。
三徳の刃渡りの考え方は三徳包丁のサイズの選び方で解説しています。
幅は、刃を斜めに乗せたときの余裕を決めます。
60mmあれば刃元側の幅が広い包丁でも面から外れません。
厚みは寿命そのもので、研ぐたびに、そして面を平らに戻すたびに減っていきます。
薄いタイプは価格が抑えめですが、使える回数も少なくなります。
あわせて用意したいのが砥石台です。
ゴム台や木枠に固定できないと、押した瞬間に砥石が動いて角度が崩れますし、手を切る危険もあります。
台が付属していない製品を選ぶなら、濡れたふきんを下に敷く方法でも滑りは抑えられます。
なお波刃のパン切り包丁は砥石では研げません。
刃形の違いはパン用包丁の選び方で解説しています。
鋼材に合わない砥石を買うのが、いちばん多い失敗
包丁の鋼材によって、必要な砥石が変わります。
炭素鋼(はがね)は中砥で素直に削れて刃が付きやすく、ステンレスは粘りがあるためカエリ(研いだ側の反対に出る返り)が残りやすく、両面から交互に当てて落とす手間が増えます。
粉末ハイスや高硬度のステンレスになると、一般的な人造砥石では削るのに時間がかかるので、ダイヤモンド砥石が選択肢に入ります。
自分の包丁がどの鋼材なのか分からない場合は、包丁の選び方で種類ごとの特徴を解説しています。
セラミック包丁は、一般の砥石では研げないか、専用の道具が指定されています。
メーカーの案内を確認し、指定がなければ研ぎ直しを依頼できるか問い合わせてください。
表面にコーティングのある包丁も同じで、研ぐと刃先の被膜が失われます。
ストーンバリア包丁の特徴では手入れ時の注意点を解説しています。
層のある鋼材は見た目から判断しにくいところがあります。
積層鋼は表面の層ではなく中心の芯材が刃になるため、砥石は芯材の硬さに合わせて選びます。
層数と刃渡りの関係はダマスカス鋼の包丁は何が違う?で解説しています。
面直しと乾燥|砥石を長く使う手入れ
人造の中砥は、10回ほど使うと中央が凹んできます。
定規や砥石の角を当てて隙間が見えたら、面直し(つらなおし)で平面に戻します。
凹んだ面のまま研ぐと刃先が丸くなり、研いだのに切れないという結果になります。
面直し用の修正砥石か、平面が崩れないダイヤモンド砥石を1枚用意しておくと、この作業は数分で終わります。
使い終わったら砥泥を流し、風通しのよい場所で乾かします。
濡れたまま密閉して置くと、においやカビの原因になります。
冬に屋外や未暖房の場所へ置くと、含んだ水が凍って割れることがあるため、保管場所は室内にしてください。
研ぎ上がった包丁の置き場所に困っているなら、包丁刺しのサイズの選び方で差し込み口の数と刃渡りの目安を解説しています。
よくある質問
シャープナーがあれば砥石は要りませんか
用途が違います。
ロール式やスティック式のシャープナーは刃先の状態を短時間で整える道具で、外出前に1本だけ手直しするような場面に向きます。
刃先が丸まり、削って形を作り直す段階になると、砥石のほうが早く確実です。
両方を持ち、日常はシャープナー、月に1回は砥石という使い分けもできます。
砥石は何枚あれば足りますか
家庭用の三徳や牛刀を切れる状態に保つだけなら、#1000前後の中砥1枚に面直し用の修正砥石を足した2枚で足ります。
刃が欠けている包丁があるなら荒砥、刃先の当たりを細かくしたいなら仕上げ砥を後から追加してください。
最初から3枚揃えても、順番に使い分ける手順が身につくまでは出番がありません。
どのくらいの頻度で研げばいいですか
使う頻度と、まな板の材質で変わります。
毎日調理して樹脂のまな板を使っているなら月1回程度が目安で、切れが落ちたと感じた時点で研ぐのが確実です。
冷凍品や骨に当てた後は、刃先が欠けていないかを明るい場所で確認してください。
セラミック包丁も同じ砥石で研げますか
一般の砥石では研げない製品が多く、専用の道具や研ぎ直しサービスが案内されている場合があります。
まず本体の表示と取扱説明書を確認してください。
指定がない場合は購入元かメーカーに問い合わせ、自己判断で硬い砥石に当てるのは避けてください。
まとめ
砥石選びで最初に決まるのは番手で、家庭の包丁1本なら#1000前後の中砥から始めれば足ります。
次に見るのが素材と浸水の要否で、思い立ったときにすぐ研ぎたいなら水をかけて使えるタイプ、硬い鋼材ならダイヤモンド砥石が候補になります。
サイズは刃渡りから逆算し、厚みは使える回数として考えてください。
ぜひ本記事のタイプ別比較表と、刃渡りから決めるサイズの目安を参考に、いま使っている包丁の鋼材に合う1枚を選んでください。





