日本製キッチンバサミの選び方|刃の素材と作りの見分け方

キッチンバサミの売り場には、「日本製」「Made in Japan」「国内組立」「企画・設計 日本/製造 中国」といった表記が同じ棚に並んでいます。このうち商品の原産国を示しているのは最初の2つだけです。
景品表示法にもとづく原産国告示では、原産国は「商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国」とされています。
ハサミの場合は刃付け(刃に切れ刃を研ぎ出す工程)や組立がこれにあたるため、鋼材そのものが海外産でも日本製と表示されることがあります。
「日本製と書いてあるから最初から最後まで国内で作られている」とは読み替えないでください。
本記事では、キッチンバサミの日本製表記が指している範囲・刃の鋼材とサイズの表記の読み方・表示をどこで確認するかを解説します。

キッチン小物ラボ編集部
キッチン小物ラボは、箸やカトラリー、水筒、弁当箱、鍋、包丁、お茶まわりの道具を扱う専門メディアです。扱う範囲は「コンセントを挿さないもの」に絞り、メーカーが公表している寸法・素材・食洗機やIHの対応可否を突き合わせて、サイズの選び分けと買い替えの判断材料を整理しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
キッチンバサミの「日本製」表記は原産国を示す表記です
日本製・Made in Japan・原産国 日本は、どれも同じことを指しています。
製造の最終的な実質工程を日本で行ったという意味であって、使われている材料の出どころまでは示していません。
刃物用のステンレス鋼材を海外から仕入れ、国内で打ち抜き・焼入れ・刃付け・組立を行った製品も、表示上は日本製になります。
反対に、国内のメーカーが企画して国内のブランド名で売っていても、製造工場が海外なら原産国は日本ではありません。
この場合は「企画・設計 日本」「販売元 ◯◯株式会社」とだけ書かれ、原産国欄に別の国名が入ります。
販売元の住所が日本国内なのは当たり前で、そこを原産国と読み違えると選び方がずれます。
そのため、日本製という3文字から読み取れるのは「国内に製造工程がある」ことまでです。
切れ味や耐久性は原産国ではなく、後述する鋼材と刃の形状、それに分解して洗える構造かどうかで決まります。
表記を入口にしつつ、判断材料はもう何段か先にあると考えてください。
日本製・国内組立・海外生産、表示の3タイプを見分ける
パッケージや商品ページに出てくる表記は、おおまかに3タイプに分かれます。どれが優れているという話ではなく、表記から分かることの範囲が違います。
| 表記のタイプ | 読み取れること | 向いている人 |
|---|---|---|
| 日本製/Made in Japan/原産国 日本 | 最終的な実質工程が国内。どの工程までが国内かは書かれていない | 国内製造であることを条件にしたい人 |
| 岐阜県関市・新潟県三条市など産地まで明記 | 刃物の産地名まで公表している。問い合わせ先も国内 | 長く使い、問い合わせや部品の相談をしたい人 |
| 企画・設計 日本/製造 ◯◯(海外) | 設計は国内、製造は海外。原産国は日本ではない | 価格帯と仕様で選び、原産国にはこだわらない人 |
関市や三条市は刃物の産地として知られていますが、産地名が書いてあれば品質が保証されるわけではありません。
産地表記の値打ちは、どこで作られたかを公表している姿勢と、同じ地域で部品や研ぎ直しの相談先が見つけやすいことにあります。
原産国欄が空欄の商品ページも珍しくないので、その場合はメーカー公式の製品ページまで戻って確認してください。
刃に使われる鋼材の表記は、素材名と処理の2段で読む
ステンレス刃物鋼とモリブデンバナジウム鋼
キッチンバサミの刃に多いのは、刃物用に硬さを出せる組成のステンレスです。
表記は「ステンレス刃物鋼」とだけ書かれる場合と、「モリブデンバナジウム鋼」のように添加元素の名前まで出る場合があります。
後者のほうが具体的ではあるものの、含有量までは表記されないため、名前の有無だけで切れ味の順位は付けられません。
なお、カトラリーでよく見る18-8や18-0は、クロムとニッケルの比率を示す材質の区分であって、数字の大小が切れ味の順位ではありません。
この区分のステンレスは焼入れで硬くしにくいため、刃そのものではなくハンドル側の金属部分に使われていることがあります。
仕様欄で数字を見かけたら、どの部品の材質を指しているのかを確かめてください。
表面処理とハンドル材の表記
刃に「フッ素樹脂加工」「シリコン加工」とあるものは、餅や肉の脂が刃に付きにくくなるのをねらった処理です。
加工は使ううちに摩耗するので、永続する性能として読まないでください。
ハンドル側には「ポリプロピレン」「エラストマー」と材質名に加えて耐熱温度が併記されていることが多く、食洗機や煮沸を考えるならこの数値が判断材料になります。
ステンレスでも錆びます。
水気が残った状態で引き出しにしまうと、支点のねじまわりから点錆びが出ることがあります。
落とし方はキッチンバサミの錆び取り手順で解説しています。
刃渡りと全長の表記から、自分に合うキッチンバサミを選ぶ
刃渡りと全長は別の数字
刃渡りは支点(2枚の刃が交わるねじの位置)から刃先までの長さ、全長は刃先からハンドル後端までの長さです。
同じ全長でもハンドルが大きい製品は刃渡りが短くなるので、2つの数字を混ぜて比べると実際に切れる範囲を読み違えます。
商品ページで刃渡りが書かれていない場合は、全長だけで切断能力を推し量らないでください。
何を切るかと、どこにしまうかで決める
刃渡りは、切る対象の厚みで決めます。
鶏肉の皮や軟骨、かぼちゃのヘタのような硬いものを切るなら、刃渡りに余裕があり、力の伝わる支点近くでくわえ込める大きさが要ります。
海藻や袋の開封、ハーブを刻む用途が中心なら、短めのほうが手首で向きを変えやすくなります。
全長は収納側の制約です。
引き出しの内寸やハサミ立ての高さを先に測り、その範囲に入るものから候補を絞ってください。
しまう場所ごとの向き不向きはキッチンバサミの収納アイデアで解説しています。
刃渡りや分解式を含めた比べ方はキッチンバサミのおすすめ選び方で解説しています。
日本製かどうかと、分解洗いや食洗機の可否は別の話です
原産国の表記からは、分解して洗えるかどうかは分かりません。
ねじを緩めずに2枚の刃を外せる分解式(セパレート式)か、支点が固定された一体型かは、構造の違いであって生産国とは無関係です。
生肉や魚を切るなら、支点まわりに汚れが残りにくい分解式のほうが洗いやすくなります。
食洗機に入れられるかも、本体表示と取扱説明書で確認してください。
刃は対応でもハンドルの耐熱温度が足りない製品や、刃を外した状態のみ対応という製品があります。
入れ方の注意点は食洗機対応のキッチンバサミで解説しています。
分解の構造を具体的に見比べたい場合は、ヴェルダンのキッチンバサミやヘンケルスのキッチンバサミで、刃先の形状と分解洗いの可否を解説しています。
日本製の表示はパッケージと商品ページのどこを見るか
店頭では、台紙やブリスターパックの裏にある品質表示欄を見てください。
品名・材質(刃・ハンドルを分けて記載)・耐熱温度・原産国・販売元が、ひとまとまりの枠内に並んでいます。
原産国は枠の下のほうに小さく入ることが多く、販売元の住所と並ぶので混同しやすい箇所です。
刃の平らな面やハンドルに「JAPAN」と刻印されている製品もありますが、刻印も原産国表示であって工程の内訳を示すものではありません。
通販では仕様表の原産国欄を見て、記載がなければメーカー公式サイトの製品ページまで確認します。取扱いは店舗や時期で変わるため、同じ型番でもページによって記載の細かさが違います。
表記を確かめずに選ぶと、あとから困るのは刃渡りと収納です。
刃渡りが足りないと骨付き肉に何度も刃を入れ直すことになり、全長が引き出しの内寸を超えると出しっぱなしになって錆びやすくなります。
どちらも買う前に数字で確認できることです。
よくある質問
日本製のキッチンバサミなら錆びませんか
錆びます。
ステンレスは錆びにくい材質であって、錆びない材質ではありません。
とくに支点のねじまわりと刃の合わせ目に水気が残ると点錆びの起点になるので、洗ったあとは開いた状態で水気を拭き取り、乾かしてからしまってください。
刃に「JAPAN」と刻印があれば全工程が国内ですか
刻印から分かるのは原産国だけです。
鋼材の生産国や、どの工程を国内で行ったかは刻印にも品質表示欄にも書かれていません。
工程の内訳を知りたい場合は、メーカーが公表している製造工程の説明を確認してください。
日本製と海外製では切れ味が違いますか
原産国から切れ味は決まりません。
判断材料になるのは刃の鋼材と刃付けの形状、刃渡り、それに分解して洗えるかどうかです。
同じ価格帯で迷ったときは、原産国よりも刃渡りと材質の表記、交換部品やアフターサービスの窓口があるかを比べてください。
まとめ
キッチンバサミの日本製表記は、最終的な実質工程を国内で行ったことを示すもので、材料の出どころや工程の内訳までは示していません。選ぶときに実際の使い勝手を左右するのは、刃の鋼材とハンドルの耐熱温度、支点から刃先までの刃渡り、収納場所に収まる全長、そして分解して洗える構造かどうかです。
ぜひ本記事の表示3タイプの比較表と、刃渡り・全長の測り方を参考に、パッケージの品質表示欄を確かめてから選んでください。




