包丁の砥石の面直しのやり方|頻度の目安と道具の選び方

研いだあとの砥石を横から見ると、真ん中だけが浅く沈んでいます。
包丁は砥石の中央を通る時間がいちばん長いので、#1000の中砥石でも数本研げばへこみが出ます。
面直し(つらなおし)は、このへこみを削ってもう一度平らに戻す作業で、鉛筆で砥石の面に格子を描き、面直し砥石で擦って線が全部消えたら終わり、という形で進みます。
平面が戻っていない砥石で研ぎ続けると刃を当てる角度が一定にならず、時間をかけても切れ味が戻りません。
本記事では、面直しの手順・へこんだ砥石で研いだときに刃先へ起きること・道具と代用品・砥石の種類ごとに変わる進め方を解説します。

キッチン小物ラボ編集部
キッチン小物ラボは、箸やカトラリー、水筒、弁当箱、鍋、包丁、お茶まわりの道具を扱う専門メディアです。扱う範囲は「コンセントを挿さないもの」に絞り、メーカーが公表している寸法・素材・食洗機やIHの対応可否を突き合わせて、サイズの選び分けと買い替えの判断材料を整理しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
包丁用の砥石の面直しは鉛筆の格子から始める
面直しでやっているのは、高く残っている部分を削り落として面全体の高さをそろえる作業です。削れているかどうかは見た目では分かりにくいので、始める前に目印を付けておくと途中の判断に迷いません。
砥石の面に鉛筆で格子を描く
HBくらいの鉛筆で、砥石の面に2〜3センチ角の格子を描きます。
高い部分から先に擦られて線が消え、へこんだ部分の線は面直し砥石が当たらないので最後まで残ります。
線が全部消えた時点で、面のどこにも低い箇所が無くなったと判断できます。
油性ペンでも印は付きますが、砥石に色が残ることがあるので鉛筆のほうが扱いやすいです。
水を含ませてから面直し砥石を当てる
浸水が要る砥石は、気泡が上がらなくなるまで水に沈めてから始めてください。
乾いたまま擦ると削り粉が目に詰まって削れなくなり、粉も飛びます。
面直し砥石を砥石に乗せたら軽く押さえ、端から端まで往復させます。
中央だけを往復させると、へこみを広げる方向に削ってしまいます。
研ぎ汁が濃くなって滑りが悪くなったら、水をかけて流しながら続けてください。
角を落としてから研ぎに戻る
線が消えたら、砥石の四辺の角を面直し砥石の角で軽く削って落とします(コバ取り)。
角が立ったままだと、刃を当てたときに刃先がそこへ乗り上げて欠けることがあり、手の側も切りやすくなります。
幅1〜2ミリほど落ちていれば十分です。
へこんだ面のまま研ぐと刃先が丸くなる
砥石の中央がへこむと、刃を前後に動かすあいだに砥石の面のカーブへ沿って角度が変わります。
刃先だけが余計に削られて丸みを帯び、糸のように細い刃先が付かない状態になります。
研いだ手応えはあるのに紙も切れないという症状は、研ぎ方ではなく砥石の面が原因である場合があります。
反対に、砥石の両端が高く残ると刃元や切っ先が砥石に届かず、刃の真ん中だけが切れる包丁になります。
切刃の広い和包丁ではこの差がはっきり出て、研げていない部分にだけ古い刃が残ります。
角度と回数を守っているのに戻らないときは、包丁の研ぎ方で解説している手順を見直す前に、砥石に定規や面直し砥石を当てて隙間を確かめてください。
面直しでよくある失敗と直し方
へこみの中央だけを狙って擦る
低い場所を削っても平面にはなりません。
削るのは周囲の高い部分なので、面直し砥石は面の全体を使って往復させます。へこみが深いときほど時間はかかりますが、鉛筆の線が残っている場所は触らないという意識で進めると過不足なく収まります。
面直し砥石そのものがへこんでいる
面直し砥石も使えば減ります。
曲がった定規で線を引くのと同じで、へこんだ面直し砥石を当てれば砥石も同じ形になります。
使う前に2本を合わせて光が漏れないかを見るか、平らなガラス板の上に置いてがたつきを確かめてください。
電着のダイヤモンド砥石は粒が落ちると削れなくなるため、擦っても鉛筆の線が消えなくなったら交換時期です。
仕上げ砥石に粗い面直し砥石を当てる
#3000以上の仕上げ砥石を粗い面直し砥石で擦ると、面は平らになっても深い傷が残り、その傷が刃先に写ります。
仕上げ砥石には細かめの面直し砥石を使うか、平面を出したあとで同じ番手の砥石どうしを軽く擦り合わせて表面をならしてください。
仕上げ段階の役割は包丁の砥石3000番の使い分けで解説しています。
面直しの道具と代用できるもの
専用品でなくても平面さえ出せれば面直しはできますが、道具ごとに削る速さと仕上がりが変わります。
| 道具 | 粗さの目安 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 面直し用砥石(修正砥石) | #80〜#300程度 | 中砥石の日常的な平面出し。溝つきは研ぎ汁が逃げて削りやすい |
| 電着ダイヤモンド砥石 | #150〜#400程度 | 自身が反りにくく、深いへこみを短時間で削りたいとき |
| 耐水ペーパー+平らな板 | #120〜#240程度 | 手持ちの道具で済ませたいとき。板がゆがんでいると意味がない |
耐水ペーパーを使うなら、厚手のガラス板や石材など、たわまない台に水で貼り付けてから砥石のほうを動かします。
コンクリートブロックで代用する方法もありますが、ブロック自体が不均一に削れて面が崩れるので、荒砥石の応急処置までと考えてください。
砥石を買い足す段階なら、面直し砥石が同梱されているかどうかも確認材料になります。
付属品の中身は包丁の砥石セットの選び方で解説しています。
砥石の種類で変わる面直しの進め方
浸水する砥石と、水をかけるだけの砥石
浸水が要るタイプは面直しの前にも水を吸わせてから作業し、浸水不要と表示されたタイプは表面に水をかけながら擦ります。
浸水不要の砥石を長時間水に沈めると割れや崩れの原因になる製品があるので、メーカーの取扱説明書に書かれた水の使い方に合わせてください。
両面砥石は粗い面と細かい面で減り方が違うため、面ごとに平面を確かめます。
番手の組み合わせごとの減り方の差は包丁用の両面砥石の選び方で解説しています。
ダイヤモンド砥石は削らずに目を洗う
ダイヤモンド砥石は金属の台にダイヤ粒を固定した構造なので、面を削って平らにする作業はできません。
切れ味が落ちたと感じるのは目詰まりが原因であることが多く、水をかけながらブラシで研ぎ粉を落とします。
台の変形や粒の脱落が出たら、直さずに買い替える道具です。
天然砥石は共擦りで合わせる
天然砥石は層によって硬さが違い、硬い部分と柔らかい部分が混ざります。
同じ天然砥石どうしを擦り合わせる共擦り(ともずり)で面を合わせるか、細かめのダイヤモンド砥石で少しずつ当てます。
一気に削ると柔らかい層だけが落ちて、かえって面が崩れます。
平面に戻す間隔は研いだ時間で決める
日数ではなく、研いだ量で決めるほうが実態に合います。
#220前後の荒砥石は減りが速く、刃こぼれを落とすような作業なら包丁1本で目に見えるへこみが出ます。
#1000の中砥石は数本ぶん、#3000以上の仕上げ砥石はさらに減りにくい一方、目詰まりで滑るようになります。
確実なのは、研ぎを始める前に毎回鉛筆で格子を描いてしまうやり方です。
線がすぐ全部消えればそのまま研ぎに入れますし、残れば数十往復で元に戻ります。
研いでいる途中でも、刃の当たりが変わったと感じたら中断して面を確かめてください。
ステンレス包丁は刃が硬めで研ぎに時間がかかるぶん砥石の消耗も進むので、ステンレス包丁の研ぎ方で解説している番手の組み立てとあわせて考えると手戻りが減ります。
よくある質問
面直しは研ぐたびに必要ですか
へこみが出ていなければ削る必要はありません。
鉛筆の格子を描いて数往復で全部消えるなら、そのまま研ぎに入ってかまいません。
確認そのものを毎回行うぶんには、1分もかかりません。
面直し砥石が手元にないときはどうすればいいですか
耐水ペーパーの#120〜#240程度を、ガラス板など平らでたわまない台に水で貼り付け、砥石のほうを動かして削ります。
台がゆがんでいると砥石もその形になるため、台の平面を先に確かめてください。
削りかすが残るので、終わったら流水で洗い流します。
面直しをすると砥石はどのくらい減りますか
へこみの深さぶんだけ全体を下げる作業なので、へこみを放置して深くするほど削る量は増えます。
浅いうちに短時間で戻すほうが、結果として砥石は長く使えます。
厚みが薄くなって割れそうになったら、台に貼って使うか買い替えの時期です。
包丁研ぎ器にも面直しのような手入れはありますか
ローラーや刃を内蔵した研ぎ器は、使用者が砥材の面を整える構造にはなっていません。
手入れは溝にたまった金属粉を落とす程度で、切れ味が戻らなくなったら本体の交換時期です。
手入れと使い方の違いは包丁シャープナーの研ぎ方で解説しています。
まとめ
面直しは、鉛筆で格子を描き、水を含ませた砥石の端から端まで面直し砥石を往復させ、線が全部消えたら角を落として終わるという、数分で区切りのつく作業です。へこんだままの砥石では刃を当てる角度が動いて刃先が丸くなり、研ぎの時間が無駄になります。
仕上げ砥石には細かい面直し砥石を使う、ダイヤモンド砥石は削らず目詰まりを落とす、天然砥石は共擦りで合わせるという違いも押さえておいてください。
ぜひ本記事の手順と道具の比較表を参考に、次に研ぐ前の1分で砥石の面を確かめてみてください。




